当公益財団法人ゴールドリボン・ネットワークの前身である認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワークは、2008年6月に誕生しました。そのきっかけは、1973年に出会った一冊の手記「娘を不治の病に奪われて」(福地誠一郎氏著)でした。この手記には、6歳で白血病により娘さんを亡くされたご家族の経験が記されていました。当時小児がんの治癒率は1桁でした。
その中で福地氏が綴られた小児がんとの闘い、経済的問題に加えて、「このいまわしい病気が早くこの世からなくなるよう研究を進めることを心から願いたい」という言葉が、私の心に深く刻まれました。
2006年秋、ピンクリボンの募金パーティーに参加していた際、この手記の内容が再び心に浮かびました。そして、小児がんの子どもたちが安心して笑顔で生活できる社会を創りたいという想いが、ゴールドリボン・ネットワーク設立の原動力となりました。
当時、小児がんの治癒率は70%程度にまで向上していましたが、それでも毎年約500人の子どもたちが命を落としていました。その現実に向き合い、「小児がんを治る病気にしたい」との信念のもと、治療研究助成の活動を開始しました。
活動を始めた当初、「子どもにもがんがあるの?」という声を耳にしました。それほどまでに、小児がんは社会に知られていないものでした。
そこで、支援の輪を広げる第一歩として、小児がんの治療等の研究助成に加えて、小児がんの認知を高める活動に取り組むことにしました。
例えば、ウォーキングイベントを開催し、2,000~3,000人の参加者の前で小児がん経験者の方に体験談を語っていただく機会を設けたり、最新かつ正確な小児がん情報を広めるため、現在の公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)の行っている、米国国立がん研究所(NCI)が作成するPDQ(Physician Data Query)の日本語版配信に協力することにしました。
小児がんの治癒率は80%と向上しています。しかし、年間の罹患者数が約2,000~2,500人(20歳未満を含めると約3,000人)と少なく、さらに病気の種類が多岐にわたる(WHOの中分類で47種類)ことが、治療を難しくしています。また、小児がん経験者の約半数が晩期合併症(後遺症)を抱えながら長い人生を歩まなければならないという課題もあります
罹患者数の少なさゆえに、治療を受けられる病院(全国で約140病院、拠点病院は15病院)や専門医も限られています。特に高度な専門性が必要な場合、遠方の病院で治療を受けざるを得ないケースも多く、交通費や宿泊費といった経済的負担が治療を断念する要因となることを知りました。そこで住んでいる場所で受ける治療に差があってはならないという想いで2014年、交通費等の補助金制度を設け、遠方での治療を可能とするための支援の仕組みを構築しました。
晩期合併症や障害を抱える子どもたちにも、当然ながら将来の夢があります。片目が見えなくとも看護師を目指す、病気の人を支える仕事に就きたい等、その夢を叶えるために学びたいという強い意志を持つ大学生(短大、専門学校生を含む)を支援したいと考え、2015年に給付型奨学金制度を創設しました。
当初は5~8名ほどの新規採用しか出来ませんでしたが、皆様の温かいご支援のおかげで現在では毎年20名を超える新規採用が可能となっています。一方で、現在でも応募者の半数以上をお断りせざるを得ない現状に、心苦しい思いも抱え、これを少しでも解決したいという思いも持っています。
奨学金制度を利用される方の6割以上が一人親家庭であること、医療関係者からその必要性を言われていたことから、2022年に「ひとり親世帯支援制度」を設けました。これは、ある方からのご遺贈によるファンドを元に実現したものです。ただし、現在の支援額では十分とは言えず、これも、引き続きファンドの充実をさせていきたいと思っています。
晩期合併症の原因の一つとして、治療に用いられる「放射線」や「抗がん剤」の影響が挙げられます。そのため、「小児がんを治る病気に」という目標だけでなく、「晩期合併症の発生を抑える治療研究」や「フォローアップ研究」、さらには「QOL(生活の質)の向上」につながる研究も私どもの「小児がん治療等の研究助成」の対象としています。毎年20~25団体の研究を支援するとともに、海外で研究を深めたい1名の研究者に留学支援を行っています。
また、「ドラッグロス」や「ドラッグラグ」の解消と新薬開発は長い間の日本の課題です。ドラッグロスやドラッグラグは近年国や関係者の努力により改善が進んでいます。この点でも今後役立つことが出来ればと思っています。
『私のように小さい時に発症し、治療のおかげで死なずに済んで大きくなっても、様々な障害や生きづらさを抱えている友達がたくさんいます。今はまだそんな私たちが生きやすい社会とは思えません。つらい治療に耐えたからには前向きに明るく生きたいです。私たちも頑張ります!なので社会も応援してくれるような、そんな国に日本がなってくれたらいいなと願います』これは4歳の時に脳腫瘍を発症し、5回の手術を受け、3回目の手術で左目失明、右外側半分の視野欠損、右半身麻痺となった小児がん経験者の言葉です。この言葉のように小児がんの子どもたちが生きづらさを感じることなく、明るく前向きに生きていける社会にすべく、私どもの「小児がんの子ども達が安心して笑顔で生活できる社会を創る」というビジョンの実現に向けて、公益財団法人として今後共活動を継続していきます。引き続き皆様方の温かいご支援を賜れれば幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2025年1月
1944年生まれ。68年東京大学経済学部卒。川崎製鉄(現JFEスチール)入社。73年アフラック日本支社(現アフラック生命保険)創業に携わり、95年社長、2003年会長。10年に退職後、公益財団法人ライフ・エクステンション研究所理事長、顧問。08年から24年認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク理事長。現在、いきいき舎 代表取締役。
名称 | 公益財団法人ゴールドリボン・ネットワーク |
設立年月日 | 2024年6月19日(2008年6月16日設立の認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワークから移行) |
住所 |
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-8 目白欅マンション204号 |
TEL | 03-5944-9922 |
FAX | 03-5944-9923 |
代表者 | 理事長 磯中 淳 |
評議員・役員 |
評議員 3名 理事 7名 監事 1名 ファウンダー1名 |
職員数 | 7名(2023年12月末時点) |
会員数 | 個人2,583名、法人850社(2023年12月末時点) |
年次報告 | 事業報告書、活動計算書等 |
公開情報 | 定款(PDF) 事業・組織体系図(PDF) 役員名簿(PDF) |
公益財団法人ゴールドリボン・ネットワークは設立以来、以下の3つを活動方針を柱に、小児がん患児・経験者とその家族を、治療から就学・就労までサポートしています。
小児がん患児・経験者が少しでも前向きに生きていけるように、①治療中の子どもたちへのニット帽プレゼント、②小児病棟への学習室設置等の環境整備、③小児がん経験者・家族のためのキャンプ、④遠方での治療が必要な方へ交通費・付き添いの方の宿泊費を補助する制度、⑤小児がん経験者への奨学金制度、⑤小児がん経験者への就労移行支援などに取り組んでいます。
※QOL=Quality Of Life (「生活の質」と訳され、身体的、精神的、社会的、経済的など全てを含めた生活の質を意味します。その人が不快に感じることを最大限に軽減し、自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出すことを目指した考え方のことです。)
「小児がんを治る病気にしたい」という思いで、毎年、国内における国・公・私立の大学その他の医療機関及び研究機関に属する医療従事者や教育・研究機関に属する教育・研究関係者に対して、研究助成を行っています。
また、国内の医師が海外で研究を行うための留学生支援も行っています。
小児がんは希少がんであるが故に社会ではまだまだ理解されていません。何よりも多くの方々に理解いただきたいと、各地でゴールドリボン・ウオーキングやチャリティーコンサートなどのイベントを実施しています。また、小児がんに関する情報提供として、米国立がん研究所(NCI)が公開する情報を日本語で紹介する『がん情報サイト』(運営:公益財団法人神戸医療産業都市推進機構)を支援すると共に、この情報を当法人のホームページでも紹介しております。若年性がん患者団体『STAND UP!!』の広報誌制作支援、JCCG長期フォローアップ委員会が出版する『小児がん治療後の長期フォローアップガイドライン』の編集支援なども行っています。
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7つの病院をつないで入院中の子どもたちがサイエンスショーを体験 北信越地域で始まった『笑顔と希望のエリア応援プロジェクト』。 11月15日、小児がん治療を行う7病院※のネットワークを活かし、各施設の環境を整えて初めてのオ […]
9/13【笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ】 KBS京都ラジオの情報番組「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(毎週月~金 6:30~10:00生放送)に、当法人理事の真鍋が出演しました! 9月13日(金) 7:15からの「ほっか […]
6月末、当法人理事長の松井が東京都三宅村立三宅中学校にて講義をさせていただきました。その時の様子が、東京七島新聞に掲載されました。 ◆「がん教育」を実施 三宅中学校全校生徒に 2023年7月8日 東京七島新聞 2面 ※P […]
ゴールドリボン・ネットワークでは小児がんの子どもたちへの支援を通して、SDGs目標の1、3、4、10、17の達成を目指して活動してまいります。
小児がん経験者が、晩期合併症を抱えながらも自立して生活できるようにサポートします。
すべての小児がん患児が、希望した適切の治療が受けられるように、また治癒率が向上するようにサポートします。
小児がん患児・経験者が、病気や環境を理由に学習を諦めることがないようにサポートします。
地域や環境によって、治療や就職への不平等や、情報収集における不便さがないようにサポートします。
私たちは、様々なパートナー企業と共に、小児がん患児・経験者・家族のための支援を実現します。
公益財団法人ゴールドリボン・ネットワークは、大阪マラソン2023のチャレンジパートナーです。
大阪マラソン公式ウェブサイト
http://www.osaka-marathon.com/
公益財団法人ゴールドリボン・ネットワークは、東京マラソン2025チャリティ及び東京マラソン財団チャリティ「RUN With HEART」寄付先団体です。
東京マラソン公式ウェブサイト
https://www.marathon.tokyo/